■武内光仁■

〈感激の合唱〉

     何げない物体がともすると自我を写し、自我の内在性をも見ぬく時、その物体が愛しくもあり、切なくもあり、わびしく思えたりする時、ふと、それに手を合わせてしまうのは私だけだろうか。
     変形四角錐の四面に野外個展を行った時のポスターをコラージュし、手形で画いたフォルムとのバランスを大切に考えた作品である。制作中、降りしきる豪雨の中にかすかな祈りを聞いたのは奇跡だったろうか。大洪水によるアトリエ崩壊を免れたのも四角錐のパワーであったろうか。
     制作者の私がこんな表現をするのもおかしいが、「不思議」なパワーを保持した作品となった。この作品は、時には床に設置したり、壁面に取り付けたり、天井に吊るしたりと現場、現場で異なった陳列ができる特徴をもった作品である。
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